広背筋皮弁
広背筋という背中の筋肉を用いる手法です。広背筋は、背中の大部分を占める筋肉です。スキーのストックをつくときなどに、手を後ろに動かす働きがありますが、他にも同じような働きをする筋肉があるので、とってしまっても問題ありません。
広背筋には腋窩(わき)から胸背動静脈という血管が入って広背筋を栄養しています。その血管を軸にして、筋肉を切り離し、ブランコのように胸部へ移動します。手術時間は6時間程度です。
適用条件:妊娠出産を望んでいる
比較的乳房が小さい方、将来、妊娠出産を希望する方や、人工物を希望されない方に適した術式です。
利点:合併症が少ない
広背筋皮弁は最も合併症が少なく、放射線治療をしていても安全に行える再建方法です。手術時間もDIEPに比べれば短い(DIEPは10時間、広背筋は6時間)のと、背部の傷が自分では見えないのが利点です。
リスク:得られる組織は少なく、かたい
背中の組織はあまりボリュームがなく、組織も硬いので、硬く、小ぶりな胸となります。また、長期経過で筋肉が萎縮して再建した乳房が小さくなることがあります。
また、背部の創部にリンパ液がたまった場合には外来にて穿刺を行います。組織の部分壊死(潰瘍になる)の可能性も少ないですがあります。