埼玉医科大学国際医療センター
形成外科 乳腺腫瘍科
〒350-1298
埼玉県日高市山根1397-1
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乳房再建手術方法の比較
シリコンインプラント | 広背筋皮弁(LD) | DIEP皮弁 | |
適応 | 妊娠・出産の希望がある 両側乳癌 若年者 家族に乳癌が多い |
妊娠・出産の希望がある 人工物を希望しない 乳房が小さい 放射線照射例 |
妊娠・出産を希望しない 人工物を希望しない 乳房が大きい 下腹部に脂肪がある 放射線照射例 |
手術侵襲 | 小さい | やや大きい | 大きい |
手術時間 | 短い | やや長い | 長い |
費用 | 健康保険の適応 | 健康保険の適応 | 健康保険の適応 |
再建乳房の形状 | 被膜拘縮を生じ硬くなることがある 下垂乳房の再建は難しい 温かみはない |
下垂乳房も再建しやすい 柔らかい 異物感が少ない 健側に近い形状にしやすい |
下垂乳房も再建しやすい 最も柔らかい 異物感が少ない 健側に近い形状にしやすい |
利点 | 新たな傷跡を生じない 手術侵襲が少ない |
人工物を用いない 感染に強い |
人工物を用いない 感染に強い |
欠点 | 人工物を用いる 長期的なシリコンのチェックが必要 |
背部に傷跡を生じる 再建乳房が委縮しやすい |
腹部に傷跡を生じる 全壊死の可能性がある |
術後短期合併症 | 血腫、感染、露出、回転 | 血腫、感染、疼痛、皮弁壊死 | 血腫、感染、疼痛、皮弁懐死 |
術後長期合併症 | 破損、被膜拘縮、感染、 露出、回転 ※BIA-ALCL |
少ない 皮弁の萎縮 |
腹壁ヘルニア |
※BIA-ALCL(ブレストインプラント関連未分化大細胞リンパ腫)は、数千個から数万個に1個の極めて稀な疾患です。術後長期経過後にインプラント周囲に液体が貯留したり腫瘤ができるなどの症状DE発症します。早期であればインプラントの摘出で治癒しますが、化学療法を要することもあります。
乳房再建の流れ
①
皮膚を伸ばし広げるためのエキスパンダー(風船)を挿入する。
乳がん手術と同時に施行できる。
乳がん手術と同時に施行できる。
②
手術室でエキスパンダーに水を注入するので、手術終了時に胸のふくらみが少しある。
③
外来にて1か月位おき位に水を注入しエキスパンダーをふくらませる。
健側の1~2割増しが目標。 エキスパンダー挿入中はMRI検査ができない。
エキスパンダーの不具合(破損)などにより再挿入となることがある。
健側の1~2割増しが目標。 エキスパンダー挿入中はMRI検査ができない。
エキスパンダーの不具合(破損)などにより再挿入となることがある。
④
半年~1年後に再度手術を行い、エキスパンダーを抜去して
シリコンインプラントと入れ替えたり、自家組織での再建を行う。
シリコンインプラントと入れ替えたり、自家組織での再建を行う。
シリコンインプラントによる再建
- 人工物を用いて再建する場合にはシリコンインプラントを使用します。
シリコンインプラントの比較については廣川のブログをご覧ください。
※あくまで私見です。
https://ameblo.jp/eiko112636/entry-12821522061.html?frm=theme
※あくまで私見です。
https://ameblo.jp/eiko112636/entry-12821522061.html?frm=theme
シリコンインプラントによる再建の流れ
- まず、エキスパンダー(前述)を挿入し皮膚を伸展させ、半年~1年後以降にシリコンプラントへの入れ替えを行う。
自家組織による再建
- 腹部や背部などの自分の組織を用いて乳房を再建する。
背部の組織を使う方法~LD(エルディー):広背筋皮弁再建~
(Latisimus dorsi muscle transfer flap)
(Latisimus dorsi muscle transfer flap)
- 背部の皮膚、皮下組織、筋肉(広背筋)を用いた再建
- 得られる組織量は少なく、乳房が小さい場合、妊娠出産の希望があり、人工物を希望しない場合に適用となる。
腹部の組織を使う方法~DIEP(ディープ):深下腹壁動脈穿通枝皮弁~
(Deep Inferior Epigastric Perforator flap)
(Deep Inferior Epigastric Perforator flap)
- 得られる組織量は多く、大きく柔らかい乳房を再建できる。
- 腹部の皮膚、皮下組織(脂肪)に血管をつけて腹部の組織を切り離し、腹部の血管と胸部の血管を顕微鏡下に縫合する。
[デメリット]
- 腹壁が弱くなるため、ヘルニア、腹部膨隆の可能性がある。
- 術後、太ると腹部の傷跡の周囲が膨隆します。
- 妊娠・出産の希望がある場合には原則用いることができない。